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主にIT関連や時事ネタの興味を持ったことを、なるべくわかりやすく書いてみようとおもいます。

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データセンターの電力事情(北海道地震にともなう大規模停電をうけて) その1

気づいたら1年以上放置してた。

さて、関西の台風被害とともに北海道の大地震・それに伴う大規模停電のニュースをよく目にします。 (被災された方、心よりお見舞い申し上げます。早く平穏が戻ることを祈っております。)

で、IT関連で北海道といえば、さくらインターネットさんの石狩データセンター。 その電力事情についてちょっと考察してみたいと思います。

さくらインターネットさんの石狩DCに限らない、DC一般の本来的なはなし
  • データセンターではラックへの給電は止めてはいけない

上記を実現するため、以下のような設計になっていることが多いようです。

  • 商用電源2系統受電(建物の西側・東側から1系統ずつ、みたいな)
  • 発電機配備(2系統とかN+1系統置くケースが多い印象)
  • 無停電電源装置配備(商用電源喪失から発電機による安定電力開始までのつなぎ)

系切り替え時の影響を考慮しつつ、単一障害点が無いように設計するという、 システム(特にインフラ)ではよくある基本的な考え方ですね。

また、時間的要素として以下のようなことを考える必要があります。

  • 「商用電源全系統喪失がどれだけ長時間継続するか」を想定する
  • 上記期間、発電機を動かし続けるための「備蓄燃料(タンク容量)」と「燃料供給計画」と「発電機の耐久性(連続稼働時間)」

備蓄燃料についてよく聞くのは「24時間分」とか「48時間分」。 これはデータセンターの(受配電設備・熱・ラック数等を考慮した上での)最大消費量を前提に考えられていると思うので、 例えば新設DCで中に機器類が少ない(消費電力量が少ない)場合は、燃料的には想定よりも長くもつ可能性があります。

燃料供給計画については、通常は燃料屋さんと優先供給契約を結んで、有事の際に優先的に燃料を供給してもらえるようにしておくことになります。 さくらインターネット研究所さんのブログにも記載がありますね。

停電時のデータセンターの対応 – さくらインターネット研究所

これは「保障」ではなくあくまで「優先」なので、物流事情等によっては期待通りの燃料供給が受けられない可能性がありますが、 正当な(納得感のある)理由なく有事に燃料供給できないければ次の契約は無いので、燃料屋さんは必死でがんばってくださるはずですね。

そして意外と盲点なのが「発電機の耐久性(連続稼働時間)」。 データセンターなどに設置される発電機は「非常用」であり、常用することは想定していません。 燃料供給さえ行われればずっと運転できる、なんていうものではないのです。 「じゃ何時間くらいが想定されてるのよ」という話ですが、発電機メーカーの諸元を確認いただければと思います。 大半の発電機は数時間から長くても百数十時間程度だと思います。

通常は発電機の故障も考慮して2台以上発電機が設置されていることが多いと多いと思いますが、 はたしてその発電機数で何時間(何日)連続運転できるのか。 交互に運転させればずっと運転できるのか。燃料以外にも廃熱・消耗品の劣化(交換)等、考慮すべきことは意外と多いのです。

ではさくらインターネットさんの石狩DCはどうなのか?

ここがみなさん気なっている本題だと思いますが、十分リサーチできていないのと、 実際の運用状況を踏まえて機会があれば別記事として記載しようと思います。