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節税~法人役員編~

法人役員のための効果的な節税方法を検討してみる。 厳密には税とは呼ばれないものも低減させているが、便宜上これらを節税と呼ぶことにする。

前提

  • 法人役員
  • 配偶者控除なし
  • 子2人(3歳・0歳)
  • 役員報酬50万(年収600万)
  • 自宅は賃貸(10万/月)
  • 社会保険料所得税・住民税・子の保育料を下げて手元に残るお金を増やすことを目指す
  • 結果的に厚生年金保険料が下がって将来年金額が下がるが、それ以上に節約・節税できる(将来年金額の低下は我慢する)前提とする

どノーマル

  • 額面年収600万
  • 社会保険料の自己負担分: \70,230/月、\842,760/年
  • 所得税・復興特別所得税: \355,800
    • 課税所得: \3,880,000
      • 給与所得: \4,260,000
        • 給与収入: \6,000,000
        • 給与所得控除: \1,740,000
      • 基礎控除: \380,000
      • 社会保険料控除: \842,760
  • 住民税(翌年分): \395,500/年, \32,900/月
    • 課税所得: \3,930,000
      • 給与所得: \4,260,000
        • 給与収入: \6,000,000
        • 給与所得控除: \1,740,000
      • 基礎控除: \330,000
      • 社会保険料控除: \842,760
  • 保育料: \774,720/年, \64,560/月

額面年収から社会保険料所得税・住民税・保育料を引いた金額(手元に残る金額)は\3,631,220。 月額にすると\302,602。 家賃を控除すると年額\2,431,220, 月額\202,602。

ちなみに会社負担額は\6,000,000+社会保険料の会社負担分\842,760。

やれる限りの節税を実施

会社負担額が変わらないよう、役員報酬も変える。

  • 企業型確定拠出年金: \55,000/月, \660,000/年
  • 自宅の社宅化: \30,000/月, \360,000/年
  • 額面年収450万
  • 社会保険料の自己負担分: \53,374/月、\640,488/年
  • 所得税・復興特別所得税: \61,200
    • 課税所得: \1,199,000
      • 給与所得: \3,060,000
        • 給与収入: \4,500,000
        • 給与所得控除: \1,440,000
      • 基礎控除: \380,000
      • 社会保険料控除: \640,488
      • 小規模企業共済: \840,000
  • 住民税(翌年分): \127,300/年, \10,600/月
    • 課税所得: \1,249,000
      • 給与所得: \3,060,000
        • 給与収入: \4,500,000
        • 給与所得控除: \1,440,000
      • 基礎控除: \330,000
      • 社会保険料控除: \640,488
      • 小規模企業共済: \840,000
  • 保育料: \291,120/年, \24,260/月

額面年収+確定拠出年金+自宅家賃浮いた分(計600万)から社会保険料所得税・住民税・保育料を引いた金額(手元に残る金額)は\4,879,892。 月額にすると\406,658。 会社に支払う家賃を控除すると年額\4,519,892, 月額\376,658。

ちなみに会社負担額は\4,500,000+確定拠出年金\660,000+家賃差額\840,000+社会保険料\640,488。

節税策概要

今回実施を想定した節税策は以下。

  • 企業型確定拠出年金
    • 最大\55,000/月、報酬でないかたちで貯蓄することになる
    • 報酬でないので社会保険料所得税・住民税の課税対象にならない
    • 住民税が下がるので保育料も下がる
    • 60歳まで引き出せないので、キャッシュフローは悪化する
  • 自宅の社宅化
    • もともと報酬の中から払っていた\100,000/月を会社で支払うことにした
    • 規定の計算式に基づいて社宅料を会社に支払う必要があり、今回は\30,000/月とした(不動産課税標準額等に依存。詳細省略。)
    • 実質的に\70,000/月を報酬でないかたちで会社から個人に移転できている
    • 報酬でないので社会保険料所得税・住民税の課税対象にならない
    • 住民税が下がるので保育料も下がる
    • 支払い方を変えただけであり、キャッシュフローに大きな影響は無い
  • 小規模企業共済
    • 会社役員・個人事業主が加入できる、独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営する退職金制度的なもの
    • 最大\70,000/月、個人の可処分所得(報酬)の中から積み立てすることになる
    • 報酬の中から払うことになるので、社会保険料を減らす効果はない
    • ただし、所得税・住民税ともに課税所得から控除される(所得税・住民税が下がる)
    • 住民税が下がるので保育料も下がる
    • 60歳まで引き出せないのでキャッシュフローは悪化するが、積立金の一定割合分は低年利率(0.9%~1.5%)で貸付けを受けられるため、対策の余地はある

節税効果概要

トータルの節税効果は以下のような感じでした。

  • 社会保険料: \842,760/年→\640,488/年=\202,272/年
  • 所得税: \355,800/年→\61,200/年=\294,600/年
  • 住民税: \395,500/年→\127,300/年=\268,200/年
  • 保育料: \774,720/年→\291,120/年=\483,600/年
  • 合計: \1,248,672/年

考察

  • 各科目ともかなりの節約ができている。その中でも保育料の低減幅が大きい。
  • 当初額面の20%も差が出るのはかなり大きい
  • 企業負担は実は増えているはず
    • 企業型確定拠出年金の制度利用に掛かるコスト
    • 社宅運用に掛かるコスト
  • 確定拠出年金・小規模企業共済ともに、税金の先送りに過ぎない?
    • 積み立てたものを引き出す際に所得税が課税されるので上記指摘は間違いではないが、いずれも退職所得控除対象になるため、大幅な減税効果が得られる。
    • ただし、引き出し前後の期間で別の退職所得を受け取っている場合、退職所得控除にならないケースがあるので引き出し(解約)の時期・順番は要注意。
  • 小規模企業共済によるキャッシュフロー悪化は、貸付で緩和可能。
    • 年率0.9%~1.5%で貸付が受けられる。所得税で5%や10%、場合によってはそれ以上持っていかれることを考えると、小規模企業共済に入って貸付を受けたほうが得のように思われる(節税金額が貸付利息を上回る)。